「底打ちか、戻り売りか」金が一時4,600ドル台を回復した日に考えること

ボラティリティと不透明さは続く

3月25日、金のスポット価格がアジア時間の取引で約4%上昇し、COMEX金は1オンス4,600ドル台まで急騰した。前週の暴落から一転、急反発の形になった。ただ、これを素直に「底打ち」と読んでいいかは、まだわからない。

何しろ先週までの下げ幅が凄まじかった。金は2026年1月29日に1オンス5,595ドルのイントラデイ高値をつけた後、今回の急落で史上最高値から約18%下落した。そこから3月25日の反発まで、ほぼ一直線に落ちてきた。

何が反発を呼んだか

直接の引き金は、米国とイランの間で外交的な接触が始まったという観測だ。軍事的緊張が続く中での停戦交渉の報道が、リスク回避の緩みとして受け止められた。皮肉なことに、有事でも金が売られた先週とは逆に、今度は停戦観測で金が買われた。地政学リスクと金価格の関係は、もはや一方向ではない。

もう一つの要因は「強制売りの終息」だ。先週の下げは、投資家が他のポジションの損失を補うために金を換金する「強制売り」によって増幅されていた。その売り圧力が一巡したとみた買い手が戻ってきた、という解釈が市場では広がっている。

価格の現在地を整理してみる

3月24日時点のスポット価格は4,398ドル台で推移しており、25日のアジア時間に4,600ドル台まで戻した。ただし、市場は4,300〜4,400ドル付近での揉み合いが基本シナリオとされており、方向感は定まっていない。

ドル高と米国債利回りの高止まりは引き続き上値を抑える要因だ。一方、米10年債利回りは今月初めの3.93%から4.37%まで上昇しており、金利環境は依然として金にとって逆風だ。利子を産まない金が、高利回り国債と比べて見劣りする構図は変わっていない。

「ボラティリティ」そのものが今のテーマか

今週の金市場を一言で表すなら、乱高下だ。今週は米国の製造業・サービス業PMIや週次失業保険申請件数など複数の経済指標が予定されており、金価格は引き続き高い変動率が見込まれる。史上最高値から18%落ちて4,600ドルに戻し、翌日また4,400ドル台というような動きが、しばらく続く可能性がある。

どこの証券会社やアナリストも予測の幅が広く、バラバラだ。それだけ読みにくい相場ということだ。

金が「何を織り込もうとしているか」がまだ定まっていない。中東停戦か、インフレ再燃か、FRBの利下げ転換か。どれが先に現実になるかで、動く方向はまったく変わる。今日の4%上昇を答えとするのはあまりに早計だろう。


※本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。金融商品への投資は元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任において行ってください。

カテゴリ: 経済・金融・投資
この記事を書いた人
Seita Namba
イグナイトbiz 編集長