Japan Market Weekly
日経平均 週間終値推移
2026年2月24日(火)〜 2月27日(金)
AI電線・AIインフラ株が牽引。古河電工・住友電工が急騰し相場を底上げ
AI米ハイテク株反発で急騰し5万8,000円台を奪還。地政学中国レアアース規制観測で経済安保株も全面高
NVIDIAQ4売上681億ドルのサプライズ好決算。この時点で史上最高値更新。日中高値は年初来高値 ¥59,332 を記録
NVIDIA半導体関連は利確売りも、TOPIXが最高値を更新。週間を通じ相場の底堅さを確認し続伸で週を締め、最高値を更新
出典:東証データ・各種報道をもとに編集部作成 / 数値は推計含む
円安・AI・高市政権… 三つ巴の「追い風」が、日本株を歴史的水準へ押し上げている
2026年2月最終週、東京株式市場は世界の投資家が注目するまさしく”震源地”であっただろう。
週末27日(金)時点で日経平均株価は5万8,850円(前週末比+2,024円)。一時は年初来高値となる5万9,332円(2月26日)を記録し、終値ベースでも史上最高値を更新し続けている。「6万円の壁」まで、もはや指呼の間だ。
しかし、この急騰は単純な「好景気」によるものではない。AIバブル、高市政権の積極財政、円安、レアアース争奪戦……、複数のテーマが複雑に絡み合い、日本市場に今まで見たことのないダイナミズムを生み出している。
今、この相場で何が起きているのか。最終週の動きを徹底的に読み解いていこう。
先週(2月24日〜28日)の日経平均・デイリー動向
・2月24日(火)+495円 → 終値 57,321円
祝日明け(23日は天皇誕生日で休場)のスタートは、米国株の大幅安を受けた売りが先行。しかし寄り付き後は急速に切り返した。牽引役はAIインフラ関連の電線株。古河電工や住友電工など、ここ数年で注目を集める「縁の下のAIプレイヤー」が市場の想像力を刺激した。プライム市場売買代金は8兆5,807億円と週を通じて最大の活況を呈した。
・2月25日(水)+1,262円 → 終値 58,583円
前日の米ハイテク株反発を引き継ぎ、節目の5万8,000円台を力強く奪還。また、Anthropic(アンソロピック)が発表したAIと既存ソフトウェアの連携機能が「AI脅威論」を払拭し、国内SaaS・ソフトウェア株が全面高。中国が日本企業へのレアアース輸出規制を示唆したニュースは逆にサプライチェーン再構築銘柄(東洋エンジニアリング、DOWA)への買い材料となった。
・2月26日(木)+170円 → 終値 58,753円(終値ベース史上最高値更新)
NVIDIAが第4四半期売上高681.3億ドルの好決算を発表、時間外で株価上昇。これを追い風に日経平均も続伸し、終値ベースで史上最高値を更新。日銀の審議委員人事案(利上げに慎重な人物の起用)が報道され、「低金利継続への期待」が輸出株・成長株を後押しした。年初来高値5万9,332円はこの日の取引中に記録された。
・2月27日(金)+97円 → 終値 58,850円(推定)
強気の相場は継続。一方、エヌビディア株の好決算後に「材料出尽くし」の売りが入ったもの半導体関連が軒並み安。ただしTOPIXは最高値を更新しており、日経平均の上昇は一部の値がさ半導体株の押し目による”局地戦”にとどまった。
週間・月間で何が変わったか──数字で振り返る
| 指標 | 前週末(2/20) | 週末(2/27) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 日経平均 | 56,826円 | 58,850円 | +2,024円(+3.6%) |
| TOPIX | 3,795 | 3,866 | +71pt(最高値更新) |
| ドル円 | 153円台 | 155〜156円台 | 円安方向 |
| 長期金利(10年債) | 約1.4% | 約1.4% | 安定的 |
年初来(1月初)と比較すると、日経平均は約2025年末比で大幅プラス、TOPIXも史上最高値を更新。「日本株の再評価」は単なるトレンドを超え、構造変化のフェーズへ入ったとの見方が広がっている。
なぜここまで上がるのか?「5つの複合要因」
① 高市政権の「リフレ路線」と積極財政への期待
2月18日に発足した第2次高市早苗内閣は、食料品の消費税引き下げや給付付き税額控除など積極的な財政政策を打ち出した。市場は「金余り相場」の継続と解釈。高市首相が円安・低金利を歓迎する姿勢を示したことで「高市トレード」が本格始動し、輸出株・成長株の両面に恩恵が及んでいる。
② AI・半導体テーマの持続的拡大
アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループという「日経平均への寄与度が大きい値がさ株」が引き続き相場を牽引。NVIDIAの好決算が確認されるたびに「AI投資サイクルはまだ終わっていない」との安心感が日本市場にも波及する。
③ 円安の継続(1ドル=155〜156円)
輸出企業の業績改善期待が下支え。日銀が利上げに慎重な審議委員人事を進める中、日米金利差は依然として円安方向に作用している。
④ 中国リスクが「経済安保テーマ」を生んだ
中国によるレアアース輸出規制への警戒から、国内の素材・資源・インフラ株に国策マネーが流入。DOWA、東邦チタニウム、東洋エンジニアリングなどが短期間で急騰するなど、地政学リスクが逆説的に相場の物色対象を広げた。
⑤ TOPIXの底堅さが示す「相場の厚み」
日経平均が半導体株の動向に一喜一憂する中、TOPIXは最高値更新を続けた。これは相場の物色が一部のテーマ株に偏っておらず、バリュー株・内需株にも幅広く買いが入っていることを示す。「二極化相場から全面高へ」の移行が鮮明になっている。
前人未踏「6万円の壁」の向こう側
相場が最高値圏にある今こそ、冷静なリスク評価が必要だ。
上振れリスク(さらに上がる可能性) NVIDIAをはじめとする米ハイテク決算の好調継続、トランプ関税の緩和、春闘での高水準賃上げ確認などが重なれば、6万円突破も現実的なシナリオとなる。株探の週末コメントでは「6万円は通過点、いずれ7万円も」との強気見通しも出ている。
下振れリスク(下落に備える視点) トランプ政権の関税強化(先週も米連邦最高裁がIEEPA関税の一部を違法と判断するなど不透明感が継続)、米国の景気後退懸念、円高への急反転、そして日銀の予想外の利上げ前倒しが主なリスク要因だ。2026年の実質GDP成長率を+0.8%という予測もあり、株高は実体経済を相当程度先取りした水準にある点も忘れてはならない。
来週(3月第1週)の注目ポイント
- 米国雇用統計(3月7日):労働市場の強弱がFRBの政策見通しに直結。
- 春闘・主要企業の一次集計(3月中旬以降):賃上げ水準が実質賃金の改善→内需株評価に影響。
- 日銀金融政策への市場織り込み変化:審議委員人事確定後の利上げ確率変化に注目。
- 6万円ラインの攻防:週初の地合いによっては「節目突破」の号砲がなる可能性も。
これは「バブル」か「構造変化」か

2026年2月最終週の日経平均は、一週間で2,024円上昇した。それはただの数字ではなく、高市政権の積極財政、AI投資の継続、中国リスクが生んだ経済安保テーマ、そして円安という「四つの波」が同時にうねった結果だ。
バブルかどうかという問いへの答えは、まだ出ていない。ただし確かなことが一つある。日本株の「構造変化」は着実に進んでおり、その中で相場は歴史的な高みにある。PERも継続的な成長を加味すれば妥当という意見もある。6万円が現実になる日は、想像より早く来るかもしれない。
そして、その先の7万円という数字が、今の日本市場で真剣に語られ始めていることもまた、事実だ。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。投資に関する最終判断はご自身の責任において行ってください。
