AIモデル、Grok 4.5 がSpaceXAIからリリースされました。皆さんはもう使ってみたでしょうか。
通常のブラウザベースのGrokでは、上位プランに加入していないと使えなかったり、API経由で試す必要があったりと、気軽に触るには少しハードルがあります。
XやGrokに課金している人であればGrok Buildをそこそこ使わせてくれるので比較的試しやすいものの、試すハードルは高めかもしれません。
ただ、実際に触ってみると、Grok 4.5は今までのGrokと比べて、かなり印象が変わります。
特にGrok Build経由で使った場合、他社のフロンティアモデルと比較しても、かなり完成度が高いと感じました。個人的には、最近OpenAIがSolなどの新モデルをリリースして話題になっている中でも、劇的に性能を上げてきたGrok 4.5の方が今回は印象に残っています。
もちろん、すべての面で完璧というわけではありません。Fableレベルとまでは言えません。それでも、実装力、速度、問題調査への粘り、そして勝手な変更を加えない慎重さという点で、かなり実用的なモデルになっていると感じました。
この記事では、Grok 4.5を実際に使ってみた体感を、特にGrok Buildでのコーディング体験を中心にレビューしていきます。
Grok 4.5は作業できるAI
Grokという名前を聞くと、Xと連携したチャットAIというイメージを持っている人も多いと思います。「@Grok」でメンションして現れるGrokのイメージがかなり強いかと思います。確かに、従来のGrokは会話型AIとしての印象が強く、ニュースやSNS的な文脈に強いモデルという見られ方もありました。
しかし、Grok 4.5を使っていて感じるのは、これは単に質問に答えるAIではなく、作業を前に進めるAIだということです。エージェンティックに他社のフロンティアモデルと同じく仕事ができます。
特に開発用途ではその傾向がはっきり出ます。コードを書かせるだけでなく、リポジトリの構造を読ませる、エラーの原因を調べさせる、修正方針を考えさせる……。ユーザーの指示を取り違えたり、指示に従わない挙動をしてしまうと使い物にならない訳です。
総合知能指数Artificial Analysis Intelligence Index
実務コーディング解決率SWE-Bench Pro
ターミナル操作タスクTerminal-Bench 2.1
コーディング・エージェント指数AA Coding Agent Index
出典:xAI・OpenAI・Anthropic各社の公式発表、Artificial Analysisの知能指数およびコーディング・エージェント指数、SWE-Bench Proの公開リーダーボード情報(2026年7月時点)。reasoning effort・実行ハーネス等の評価条件が各社で異なるため参考値としてご覧ください。
ベンチマークを見ても分かる通り、他社のフロンティアモデルと同等のレベルで指示追従してくれますし、Grok buildのおかげかも知れませんが、コンテキスト管理もかなり上手いです。指示を破るというようなおかしなことはしてきませんでした。開発を任せるエージェントとして信頼できるという感触です。
Antigravityで使用するGemini は勝手に勘違いしてファイルを書き換えるみたいな挙動をしてきますから、信用できないんですよね……。
Grok buildがエージェントツールとして優秀
Grok 4.5を語るうえで外せないのが、Grok Buildです。

先月からGrokまたはX課金者向けに提供されているGrok Buildは、ターミナル上で動作するコーディングエージェントです。単にチャットでコードを生成するのではなく、ローカルのリポジトリを前提に、調査、実装、修正、確認までAIエージェントが進めてくれるタイプのツールです。
以前のGrok Buildでは、Cursor由来のComposer 2.5 fastが使える状態でした。Composer 2.5 fastは、フロンティアモデルほどプランニングが強いわけではないものの、プログラミング用途ではかなり優秀なモデルです。高速で、実装も安定しており、コードベースのバグ調査や修正では十分に使える印象でした。
Grok 4.5は、その延長線上にありつつ、より大きなタスクに対応できるようになった印象があります。アーキテクチャに対する理解がしっかりあるんだなという印象があります。Claudeみたいなセンスの良さをしています。
特にGrok Buildと組み合わせると、Grok 4.5の良さがかなり引き出されます。正直なところ、Grok 4.5そのもののモデル性能が高いのか、それともGrok Buildというソフトウェア側の設計が優秀なのか、切り分けは難しいです。
ただ、体感としては、開発・実装に強いのはGrok Buildという優秀なソフトウェアのおかげもかなり大きいと思います。憶測ですが、Grok buildをうまく使えるようにRL(強化学習)などが行われている気がします。
Grok Buildは、AIにただ回答させるのではなく、開発作業の流れに沿って行動させる仕組みになっています。たとえば、いきなりコードを書き始めるのではなく、まず関連ファイルを見に行き、構造を把握し、どこに手を入れるべきかを考える。LLMが行なうそのあたりの流れが自然です。見落としが全然発生しないです。コンテキスト管理、コンテキスト圧縮も上手い。
そもそもAIコーディングツールの使いやすさは、モデル性能だけで決まりません。
むしろ、以下のような部分がかなり重要です。
- どのファイルを読むべきか判断できるか
- 変更範囲を最小限に抑えられるか
- 実装前に方針を整理できるか(プランニングが上手いか)
- エラーを自律的に再調査できるか
- 途中で暴走せず、指示の範囲に留まれるか
- ハーネスと自由度とのバランスがうまく取れているか
- LLMが適切なツールを適切なタイミングで呼び出せるか
Grok Buildは、このあたりの体験がかなり良いです。
Grok 4.5単体で見ても優秀なのですが、Grok Build経由で使うことで、「AIにコードを書かせている」というより「AIと一緒に仕事をしている」感覚になります。個人的には、Codex や Claude Code での感触と大差がありませんでした。
Claude Opus 4.8より体感が良かった部分
あくまで筆者の使用感ですが、Grok 4.5はClaude Opus 4.8より体感が良い場面がありました。
もちろん、Claude Opus 4.8が弱いという意味ではありません。というより、Opus 4.8 がトークン使用量を控える最適化をやりすぎたためにちょっとダメな子になっている印象があるので、Grok 4.5 の方が好ましい動作をしてくれることが多い印象です。Opus 4.6 と比べたらまたちょっと話は変わります。
設計相談や仕様の整理では、Claude系のモデル、実装ではOpenAI型のモデルの方が安心できる場面もあります。
しかし、Grok 4.5も負けず劣らずなかなかやりおるモデルだという感覚があります。複雑な推論や文章理解、丁寧な説明でも強いモデルです。
問題点の調査のために粘れる
Grok 4.5で特に良かったのが、問題調査を任せたときの粘り強さです。
たとえば、テストが落ちている、ビルドが通らない、型エラーが出ている、UIの挙動がおかしいといった場面で、Grok 4.5はすぐに結論を出そうとせず、関連ファイルや依存関係をたどろうとします。

これは人間のデバッグに近い流れです。巧みなエンジニア感があります。
単発のコード生成が得意なモデルは多いですが、既存コードの中で発生している問題を調べるには、別の能力が必要です。Grok 4.5は、この調査型のタスクもかなり上手いと感じました。
Claude Code や Codex 、Open Codeなどで使える /goal コマンドをGrok Buildでも使えます。
AIコーディングエージェントでは、最初の回答が間違っていること自体はそこまで問題ではありません。問題なのは、間違ったあとに間違いを発見できず、修正できないことです。Grok 4.5は、最初の仮説が外れても、もう一段調べようとする粘りを感じます。この粘ってくれる感じは、開発用途ではかなり気持ちいい所です。
むしろ、「人間が見るべき場所を減らしてくれる」という意味で、かなりありがたい。UXが良いという表現が妥当かと思います。
API料金が安いのも大きい
Grok 4.5のもう一つの魅力は、API料金の安さです。
エージェント用途では、モデルの価格はかなり重要です。普通のチャットなら1回あたりのトークン量はそこまで大きくありません。しかし、コーディングエージェントでは、リポジトリを読み、複数ファイルを比較し、実装し、テスト結果を読み直し、再修正するため、入出力トークンがかなり増えます。
高性能モデルを長時間使うと、想像以上にコストがかかります。
その点、Grok 4.5はかなり試しやすい価格帯です。個人開発者や小規模チームが、日常的にAIエージェントを回すうえでは、この価格の低さは大きなメリットになります。

AIモデルは、単純な性能だけではなく「どれだけ気軽に使えるか」も重要です。
どれだけ賢くても、毎回コストを気にしながら使うモデルは、開発フローに組み込みづらいです。逆に、十分に賢く、速く、安く使えるモデルは、多少の粗があっても日常的に使いやすい。
Grok 4.5は、まさにそのポジションに近づいているように感じます。
フロンティア級に追いついている体感がある
Grok 4.5を使っていて一番驚いたのは、フロンティア級モデルにかなり追いついている体感があることです。
もちろん、厳密なベンチマークでどのモデルが何点上かという議論はあります。タスクによっては、Claude、OpenAI、Gemini系の上位モデルの方が良い結果を出すこともあるでしょう。
ただ、日常的な開発作業に限って言えば、Grok 4.5はすでに「十分フロンティア級」と言ってよい体感があります。コーディングに至ってはGemini系を超えていると断言できます。
モデルを切り替えるとセッションはリフレッシュする必要がある(Grok Build)
使っていて注意したい点もあります。

Grok Buildでモデルを切り替える場合、セッションはリフレッシュする必要があります。つまり、同じ会話や作業文脈のまま、気軽にモデルだけを差し替えて続行するというより、一度セッションを切り替える前提で考えた方がよいです。
これは少し面倒です……。
たとえば、最初はComposer 2.5 fastで高速に調査して、途中からGrok 4.5に切り替えて深く考えさせたい、という使い方をしたくなります。しかし、モデル切り替え時に文脈がそのまま引き継がれるわけではないため、必要な情報を再度渡す必要があります。
実用上は、以下のような運用がよさそうです。
- 軽い修正や高速な作業はComposer 2.5 fast
- 調査や複数ステップの作業はGrok 4.5
- モデルを切り替える前に、現在の状況を要約させておく
- 新しいセッションに要約を貼って引き継ぐ
- 大きな作業は最初からGrok 4.5で始める
このひと手間はありますが、慣れればそこまで大きな問題ではありません。
むしろ、モデルごとの役割を意識して使い分けることで、Grok Build全体の使い勝手は上がります。
OpenAI新モデルより印象的だった理由
最近はOpenAIもSolなどの新モデルをリリースしており、AI業界全体としてモデル更新のスピードがかなり速くなっています。
その中で、個人的に今回もっとも印象に残ったのはGrok 4.5でした。
理由は、単に性能が上がったからではありません。前世代からの伸び幅が大きく、開発ワークフローに入れたときの体感がはっきり変わったからです。
AIモデルの進化は、ベンチマークの数字だけでは分かりません。実際に日常作業で使ったとき、「前より任せられる」「コード変更が怖くない」と感じられるかどうかが大事です。
Grok 4.5には、その変化がありました。
特にGrok Buildと組み合わせたときの体験は、かなり完成度が高いです。OpenAIの新モデルも当然注目すべき存在ですが、今回のGrok 4.5は、個人的には「一気に実用ラインへ来た」という印象が強いです。
これまでGrokに対して、面白いモデルではあるけれど開発の主力にするにはまだまだ様子見、という印象を持っていた人もいるかもしれません。しかしGrok 4.5は、その認識を変える可能性が高い。一度は使ってみることをオススメします。
まとめ:Grok 4.5は開発用途でかなり使えるモデルになった
Grok 4.5を使ってみて感じたのは、これは単なる話題性のある新モデルではなく、開発用途でかなり現実的に使えるモデルだということです。
OpenAIがSolなどの新モデルを出してきた中でも、個人的には、劇的に性能を上げてきたGrok 4.5の方が強く記憶に残っています。特にGrok Build経由での開発体験は、AIコーディングエージェントの最前線を感じるものです。
今後、AI開発ツールは、単に「どのモデルが一番賢いか」ではなく、どのモデルが、どの開発環境で、どれだけ自然に作業を進められるかが重要になっていくはずです。
その意味で、Grok 4.5とGrok Buildの組み合わせはかなり有力な選択肢です。
CursorやClaude Code、OpenAI系のコーディングエージェントを使っている人も、一度Grok 4.5 と Grok Buildの組み合わせを試してみる価値はあると思います。少なくとも、これまでGrokを開発用途の本命候補に入れていなかった人にとっては、印象が大きく変わるモデルになっているはずですよ!
