【社説】原油先物への介入はやってはいけない

原油価格の高騰が国民生活や企業活動に影響を及ぼす中、政府による価格統制や補助金支給を通じた市場介入を求める動きが見られる。しかし、人為的な価格介入は経済全体に中長期的な歪みをもたらすものであり、実施すべきではない。

市場経済における「異常」な政策アプローチだ

そもそも自由市場において、価格は需要と供給のバランスを最適化するシグナルである。

たしかに特定の国際商品市況が高騰した場合、その価格上昇を市場全体で受け止めることで需要の抑制や代替手段への移行が促される。

しかし、政府が特定の輸入品目の価格を継続的かつ直接的にコントロールしようとする試みは、平時の市場経済における経済政策としては極めて異常である。このメカニズムを人為的に抑え込めば、市場の自律的な調整機能が完全に阻害される。

データ等から読み取れる無効性

また、価格抑制策は物価高の根本的な解決策として実質的な効果を持たない可能性が高い。

経済研究所のレポート等でも示唆されている通り、ガソリン補助金などの激変緩和措置は、消費者物価指数(CPI)を人為的に押し下げる効果(これまでの政策ではコアCPIを0.4〜0.6%程度抑制)しか持たないと意見が多数派だ。これは税金を投入して表面的な数値を操作しているに過ぎず、資源高や円安といったインフレの根本原因を解消するものではない。

補助金が終了すれば即座に物価は反発するうえ、巨額の財政支出が財政悪化懸念を生み、それがさらなる円安と輸入物価の上昇を招くという悪循環に陥るリスクすら内包している。責任のない積極財政だろう。

財政への過大な負荷と非効率性

価格抑制策は、巨額の国費を無差別に投入することになる。これは事実上、広く納税者から集めた資金、あるいは将来世代への債務によって、現在のエネルギー消費を維持する政策である。市場全体を一律に支援する手法は、本来支援を必要としない層や大企業のエネルギー消費まで補助することになり、財政効率の観点から合理的とは言えない。

報道では「1兆4000億ドルの外貨準備を原資に」とも報じられている。円安抑制の一環としても危険な賭けだろう。

石油備蓄の協調放出という手段は既に打っている

そもそも石油備蓄の放出という奥の手を打って、原油価格先物の投機的な動きは抑制しているわけだ。これ以上の手段を講じるというのはあまりにも場当たり的で過剰なのではないだろうか?


    ※本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。金融商品への投資は元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任において行ってください。

    カテゴリ: 社会・国内政治
    この記事を書いた人
    Seita Namba
    イグナイトbiz 編集長