アルテミスII、いよいよ打ち上げへ 半世紀ぶりの有人月周回、日本時間4月2日朝に迫る

日本時間2026年4月2日朝、NASAの有人月周回ミッション「アルテミスII」の打ち上げが迫っている。4人の宇宙飛行士を乗せたオリオン宇宙船が、アポロ計画以来約半世紀ぶりに、人類を月の周辺へと送り出す。

何をするミッションなのか

アルテミスIIは月面着陸を行うわけではない。宇宙飛行士4名が搭乗するオリオン宇宙船が約10日間にわたって月の近傍を飛行し、深宇宙環境での生命維持、通信、航法、大気圏再突入といった運用を、有人の状態で確認することが主な目的だ。

要するに、次の月面着陸ミッションに向けた「本番前の総合テスト」という位置づけだ。2022年に成功した無人のアルテミスIで基本システムの動作は確認済み。今回は初めて人を乗せて、同じことをやってみる。

ここに至るまでの経緯

打ち上げに向けた道のりは、決して順調ではなかった。

もともと2026年2月に打ち上げを予定していたが、ウェット・ドレス・リハーサル(推進剤充填を含む打ち上げ前の最終リハーサル)の最終段階で液体水素の漏洩が発生し、カウントダウンが自動停止。NASAは2月中の打ち上げを見送り、3月以降の実施へと方針を変えた。

3月に向けた準備が進む中、今度は別の問題が起きた。2回目のリハーサル完了直後、SLSロケット上段へのヘリウム供給が突然遮断される問題が確認された。修復作業のため、ロケットは一旦、射点から組立棟へ引き戻された。調査の結果、地上からロケットへヘリウムを供給する接続部のシール(パッキン)がずれてガスの経路を塞いでいたことが判明し、部品の交換が行われた。

こうした問題を一つひとつ解消しながら、NASAは3月12日に飛行準備審査を完了。すべての関連チームが「Go(進行)」の判断を下し、4月1日(現地時間)の打ち上げに向けた準備を継続することを発表した。

4月2日という日付について

軌道分析を重ねた結果、4月2日(現地時間)が打ち上げ予備日として新たに追加され、打ち上げ機会は4月1日から6日までの間で最大4回確保されることになった。

打ち上げ日がこれほど細かく制約される理由がある。地球が自転し、月が公転している中で正確な軌道に乗せるためには、打ち上げ可能な期間は約1週間程度しかなく、その後3週間ほどは打ち上げできないサイクルが続く。天文学的な条件が合う日は、そう多くないのだ。

クルーの状況

ミッションを担う4名のクルーは3月18日から事前の隔離期間に入り、3月27日にはフロリダ州のケネディ宇宙センターへ到着する予定だ。NASA飛行運用局の責任者は「クルーは極めて良好な状態にある」と述べている。

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この先のアルテミス計画

アルテミスIIが成功すれば、計画は次のフェーズへ進む。これまでアルテミスIIIは有人月面着陸ミッションとして計画されていたが、今回の見直しによって地球低軌道での各種テストを行うミッションへと変更された。有人月面着陸はアルテミスIVに引き継がれ、2028年の実施を目指すことになっている。

日本にも直接関わる話がある。日米両政府の合意により、JAXAの諏訪理飛行士と米田あゆ飛行士が、将来のミッションで月面に降り立つことが決まっている。アルテミスIV以降での実現が目標とされており、米国人以外で初めて月面を歩くのは日本人になる見通しだ。

4月2日朝。その瞬間、フロリダの空に上がるロケットの炎を見ながら、「人類が次に月に行く時代」がいよいよ始まると感じる人は多いだろう。50年以上の時間を経て、私たち人類は再び月を目指している。

カテゴリ: テクノロジー・先端科学 宇宙
この記事を書いた人
Seita Namba
イグナイトbiz 編集長