Anthropicが2026年4月16日にClaude Opus 4.7をリリースした。前世代のOpus 4.6から何が変わったのか?実際に触ってみた印象も交えながら解説していく。
結論から言うと
UXが良くなったという印象だ。
一番気になっていたのは推論ステップの質感だ。Opus 4.6は複雑なコーディングタスクを投げると、考えるプロセスが長くてやや冗長な印象があった。4.7はそれが少し軽くなっている。思考が「薄まった」わけではなく、過剰推論のような無駄な迂回が減った感じ。結果が出るまでの経路が短くなって、でも出てくるアウトプットの精度は落ちていない印象を受ける。ほぼ同じ。
Hexの共同創業者でCTOのCaitlin Colgroveは公式ブログとSNSでこう述べている。「低労力のOpus 4.7は、中程度の労力のOpus 4.6にほぼ相当する」。これは筆者の実感と一致する。
推論コストが下がったことで、返答までのレスポンスがやや良くなったわけだ。
しかし問題もある。指示を時々スキップする。これはおそらく思考ステップ内での過剰推論を控えるためなのだろうが、使用者の指示と推論過程内の意思決定がコンフリクトしているのだと思われる。コツコツ「作業ごとにデバッグをしろ」と指示していても時々スキップしてくるという体感がある。これが改善されれば文句なしだ。
正直Codexの方が優れていると感じる。
Mythos Previewとの違い
Anthropicは今年初め、最上位モデル「Mythos Preview」を発表した。ただしMythosはサイバーセキュリティ上のリスクを理由に、現時点では限定公開にとどまっている。
Mythosについては以下の記事にまとめた。
Opus 4.7はMythosより「全体的な能力は低い」とAnthropicも明言している。ベンチマーク上でもそれは明らかで、たとえばSWE-benchや数学系の評価でMythosが頭一つ抜けている。Mythosは現状筆者は触ることができないので具体的なことは言えないが。
ただ、ここで注目したいのはコスパの話だ。Opus 4.7の価格は入力100万トークンあたり$5、出力が$25。Opus 4.6と同じだ。
そういう意味では、Opus 4.7は全てにおいてハイエンドという立ち位置から、「Mythosを使うほどでもないが、Sonnetでは力不足」というポジションに移った印象だ。
安全性の面でもMythosとの差はある。AnthropicはOpus 4.7を「誠実さやプロンプトインジェクション耐性はOpus 4.6より改善されたが、全体のアライメント評価ではMythosに及ばない」と評価している。Mythosは今のところ同社が訓練したモデルの中で最もアライメントが高いと位置付けられている。
画像認識が別物(ガチ)
個人的に想定外だったのがビジョン性能の向上だ。

最大解像度が長辺2576ピクセル(約375万画素)まで対応した。これは従来比3倍以上。XBOWという自動ペネトレーションテストのツールは視覚精度ベンチマークで「Opus 4.6が54.5%だったのに対し、4.7は98.5%」と報告している。数字だけ見ると信じがたいが、密度の高いスクリーンショットやPDFから情報を読む精度がかなり上がっているようだ。
技術ドキュメントや画像、図が含まれる複雑な資料を扱う用途には、うれしい結果。ここはあまり試せていないので、あくまでベンチマークを見たうえでの感想だ。
注意点:トークン消費は増える
移行で気になるのはここだ。
Anthropicはアップデートのなかで「同じ入力でもトークン数が1.0〜1.35倍になる可能性がある」と明記している。トークナイザーが変わったためで、特に高effortレベルでは推論トークンも増える。コスト管理をタイトにやっているプロダクトは注意が必要だ。
ただし、「同じタスクを達成するためのトータルトークン数」で見るとOpus 4.6より効率がいい、というのがAnthropicの主張だ。途中で詰まって何度もプロンプトを叩き直す必要が減るなら、確かにそうなる。ステルス値上げなのか、コスパが良くなるのか。いまいちよく分からない所だ。
サイバーセキュリティ系の使い方には申請が必要
一点、注意が必要なのはセキュリティ用途だ。
Anthropicは先週「Project Glasswing」として、AIとサイバーセキュリティの関係についての方針を公開した。それに伴い、高リスクのサイバーセキュリティ関連クエリに対して自動ブロック(safeguards)が強化されている。
脆弱性研究やペネトレーションテスト、レッドチーミングなど正当な目的で使いたい場合は「Cyber Verification Program」に申請する必要がある。セキュリティエンジニアは覚えておきたい。
これからのAI使用はどんどんこんな感じになっていきそうだ。
まとめ
Opus 4.7をひと言で表すなら「効率が上がった4.6」だと思う。地味ではあるが改善が入っている。特に長時間動くエージェントタスク、複雑なコードベースを横断する作業、高解像度画像を扱う用途では体感の差が出やすくなりそうだ。
推論ステップが軽くなった、という感覚は使い始めてすぐ気づける。それが性能を犠牲にせず達成されているのが今回の一番のうれしい点だと感じている。トークン消費は増えるそうなので総コストではよく分からないが、価格はOpus 4.6と同じなので、移行するハードルはあまり高くないだろう。
APIモデル名は claude-opus-4-7。Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AI、Microsoft Foundry経由でも使える。
※画像はAnthropic公式のAnnouncementsより一部引用
