2026年3月19日〜21日、X(旧Twitter)上でAI業界が大きくざわつきました。人気AIコードエディタ「Cursor」が新機能「Composer 2」をリリースした直後、「これは自社開発※のモデルだ(オープンソースのモデルから追加学習を行ったとは明記)」と大々的に宣伝したところ、わずか数時間で「基盤はMoonshot AIのオープンソースモデル『Kimi K2.5』」であることが暴露されたのです。
きっかけは、開発者 @fynnso さんのシンプルなポストでした。
「OpenAI互換APIのBase URLをCursor内で書き換えてみたところ、モデルIDに kimi-k2p5-rl-0317-s515-fast と表示された」
これがすべてのはじまりです。Composer 2はどうやら、Moonshot AIが数億ドル規模で訓練した1兆パラメータ級の強力モデル「Kimi K2.5」に、Cursor側がRL(強化学習)を施したものだったのです。多くのユーザーの想定よりもCursor独自性が少なく、Kimi k2.5に「Cursor独自モデルのComposer 2」という名前を被せただけなのではないか…?という疑念が生まれたわけです。
ダメなのではという具体的な疑念が噴出
翌日、調査系ジャーナリスト @ns123abc が詳細なスレッドを投稿。Kimiの利用規約の内容からでした。
- Moonshot AIはKimi K2.5をオープンソース化(条件付きで商用利用可)
- 条件:月間売上2000万ドル超で「Kimi K2.5」と明記すること
- Cursorはこれを「continued pretraining + scaled reinforcement learning」とブログで表現し、一切Kimiの名を伏せていた
- モデルIDも変更せず、APIレスポンスにそのまま残っていた
- さらに数週間前までCursorのモデル選択画面に「Kimi K2.5」が無料で表示されていた事実も発覚
スレッドは瞬く間に27万ビューを超え、Elon Muskもリプライで「Yeah, it’s Kimi 2.5」とコメント。Moonshotの評価額は43億ドルであるのに対し、Cursorの企業価値500億ドル(約八兆円)との評価は妥当ではないのでは?という意見も挙げられていました。
Cursorが火消し。そもそも問題はなかったらしい?
最初は「Yep, Composer 2 started from an open-source base!」と回答したところ、コミュニティから「元となったモデルの名前を明言してほしい」との声が殺到。 するとすぐに以下のようなポストがCursor共同創業者兼エンジニアの@leerob(Lee Robinson)氏から公開されました。
「最終モデルにかけた計算資源の約1/4だけがベースから来ており、残りは私たちの訓練からです。これが、評価結果が大きく異なる理由です。ライセンスは推論パートナー契約を通じて遵守しています。最初にベースを明記すべきだったことはわかりました。次回のモデルからはちゃんとやります。」
さらに、Moonshot AI公式アカウント@Kimi_Moonshotの祝福ポストを引用し、 「OSSモデルに感謝。良いエコシステムだ」と好意的に締めくくりました。
独自性を強調するとともに、火消しを図った形です。
Moonshot AI公式も火消しに協力
わずか数時間後、Moonshot AI公式アカウント @Kimi_Moonshot が投稿したのです。
以下翻訳…。
「Composer 2のローンチ、おめでとうございます、
@cursor_ai チーム! Kimi-k2.5が基盤を提供しているのを見て誇りに思います。Cursorの継続的な事前訓練と高計算リソースのRL訓練を通じて私たちのモデルが効果的に統合されているのを見るのは、私たちが支援したくてたまらないオープンなモデルエコシステムです。 注: Cursorは、
@FireworksAI_HQ がホストするRLおよび推論プラットフォーム経由でKimi-k2.5にアクセスしており、これは認可された商用パートナーシップの一環です。」
具体的なライセンス違反などはCursorとの間で存在していないとの表明を行いました。
騒ぎたい人が騒いだだけかも
最近のAI開発において、オープンウェイトのモデルから追加学習を施し、独自モデルを作るという方式は一般的です。ですが、最近のRakuten AI 3.0のベースモデルが DeepSeek V-3だということに過剰反応する人たちが一定数いた一件と同じように、独自性というイメージが損なわれたことで、多くの人たち(野次馬的なイーロンマスクを含む)がCursorに石を投げることになったのだろうと考えています。
客観的に見ても、Composer 2については独自性が多いと考えています。近年まれにみるひと悶着だったなと筆者としては感じます。
Composer 2について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。↓
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