OpenAIは3月24日(現地時間)、動画生成AIアプリ「Sora」のサービスを終了すると突然発表した。公式Xアカウントへの投稿でその事実が明かされ、ユーザーへの事前告知はなかった。
Soraの元となるモデルは2024年初頭に公開されていたが、スタンドアロンアプリとしてリリースされたのは2025年9月のこと。ローンチ直後からApp Storeのランキング首位に躍り出て、ChatGPTよりも速いペースで100万ダウンロードを突破した。その勢いを見れば、今回の撤退がいかに急な方向転換かがわかる。
ディズニーとの大型提携も白紙に
影響はアプリ終了だけに留まらない。OpenAIとウォルト・ディズニーがSoraを軸に進めていた提携も解消される。ディズニーはミッキーマウスやシンデレラなど200以上のキャラクターをAI動画生成に使用できるようライセンスし、OpenAIへの10億ドル出資も予定していた。だが実際には、出資の資金移動は一切行われていなかった。
ディズニーはコメントを出しており、「AIプラットフォームとの連携を続け、クリエイターの権利と知的財産を尊重しながら新技術を活用する方法を模索する」とした。比較的温和な表現で、ディズニー側からの怒りというようなものはなさそうに見える。
なぜ今、終了なのか
公式の説明は歯切れが悪い。OpenAIの広報担当者はEngadgetへの声明で、「Soraの研究チームは引き続きロボティクスの発展に向けた世界シミュレーション研究に注力する」と述べるにとどめ、終了の直接的な理由には触れなかった。
ただ、背景を探ると話は見えてくる。Appfiguresのデータによれば、2026年初頭の時点でSoraは月次の新規インストール数と課金ともに連続して減少していた。12月だけで見ると、通常アプリが好調になるはずのシーズンにもかかわらず、新規ダウンロードが前月比32%落ちている。
OpenAI CEOのサム・アルトマン氏は社内ミーティングで、Soraの終了によってリソースを次世代AIモデルの開発に回せると従業員に説明した。同社は近くIPOを視野に入れており、コーディングやビジネス向け製品への集中が今の優先事項だ。Soraのような計算コストの高い消費者向けサービスは、その方針と相容れなかった、ということだろう。
注意しておきたいのは、Soraが「使えなくなる」のはアプリだけではないという点だ。ChatGPT経由での動画生成も、APIも、すべて終了の対象になる。動画生成AIとしてのSoraは、どのルートからもアクセスできなくなる。
ユーザーへの対応は「後日案内」
アプリと APIの具体的な終了スケジュール、作品の保存方法については、近日中に改めて案内するとしている。現時点ではまだ何も確定しておらず、ユーザーは公式からの続報を待つ状況だ。
Soraが残したものは少なくない。著作権問題や俳優の肖像権をめぐる議論を加速させ、ハリウッドやメディア業界のAIに対するスタンスを試す場にもなった。アプリは消えるが、それが巻き起こした問いは、競合各社や映画スタジオが今後どう動くかという形で、しばらく残り続けるだろう。
